食事というのは、空腹を満たすだけのものではありません。
楽しみがないといけません。
どういう気持ちで食事をするかで、食べるという行為の意味も違ったものになってきます。

私はまず、旬を楽しみます。

タケノコご飯が出てくると「ああ、春だな」と、心がうきうきしてきます。
トリ貝の刺身とかサザエのつぼ焼きなんかがあったら、さらにうれしくなってきます。

夏は、初ガツオです。
それに、ソラマメに枝豆。

秋は、マツタケご飯に里芋の煮っ転がしにさんまの塩焼き。

冬は、生ガキがいいですね。

食によって、季節を感じることができて、その季節を味わうことで、生きている喜びが沸き上がってきます。

そういうときというのは、ぱくぱくと、食べ物を、お腹に詰め込むような食べ方はしません。
ひと口ひと口を味わいながら、ゆっくり食べます。
そうすると、いくらおいしいものでも、食べすぎてしまうということはまずありません。
食べているうちに、幸せが満ちてくるので、腹六分とか八分で満足できるのです。

だれかからいただいたものなら、ひと口、口に入れるたびに、くださった方のことが思い出されたりします。
「元気にしているかな」と、その人の顔を思い浮かべながら食べていると、食材だけでは語れない味わいが口の中に広がっていきます。
そうやって食べていると、ひと口ごとに命のエネルギーが高まっていくのを感じます。