「大変なことが起こったときには、急いで解決しようとせず、一晩寝てから考えれば、いい解決法も出るし、道も開けてくる」

と、いったのは、江戸時代の儒学者の佐藤一斎です。
彼の教えを受けた人は数千人に及び、その中には、歴史の教科書に出てくるような人がたくさんいます。
それだけの大物がいったことですから、この言葉には、耳を傾けるだけの価値があります。

私たちは、何か問題が起こると、すぐに解決しなければと慌ててしまいがちです。
しかし、慌てれば慌てるほど、墓穴を掘ってしまうこともよくあります。

起こってしまったことは起こってしまったこと。
どんなに後悔しようと嘆こうと、どうしようもありません。
やれることだけやったら、もう腹をくくって、眠ってしまいます。
そうすると、目が覚めた時、意外な抜け道が見つかったり、思わぬ手助けが現れたりするのです。

どんなことでも、諦めない気持ちは大切ですが、それがあまり強すぎるのもよくありません。
がんの患者さんでも、治すんだという気持ちは大切ですが、「絶対に」とか「何が何でも」と力が入り過ぎると、執着となって逆効果になることがあります。

攻めの姿勢は貫きつつも、それにとらわれないというのが、養生の態度としては、一番好ましいものです。

眠るというのは、そのバランスをとるためには、とても有益な行為かもしれません。

眠ることで、諦めないけれど執着しないという、ちょうどいいバランスが生まれ、道が開けてくるのではないでしょうか。