私の師匠であある楊名先生は亡くなる数年前まで、生死につおて「何歳まで生きる」とか「こういう死に方はしたくない」といったことをおっしゃっていました。
ところが、あるときからぷっつりとそういうことをいわなくなりました。

そして、代わりに「あるがままに生き、あるがままに死ぬ」というようになりました。

最後の入院のときには、先生の意向を尊重し、検査もしないし、治療らしい治療もしませんでした。
体もきつかったと思いますが、私には辛そうな顔は一切見せませんでした。
愚痴ひとついわない先生の姿に、私も胸がいっぱいになりました。

そういう生き方をしていると、亡くなり方も見事です。

ご家族、お弟子さんら、関係者一人一人と握手をし、最後の一人と握手をして間もなく息を引き取りました。
私も握手をして別れましたが、先生の手の力強さは今でも覚えています。

私は、先生の生き方、死に方を見ていて、これが生と死を統合することだと思いました。
生が終わって死があるわけではない。
生の中に死があり、死の中に生がある。
生も死も一緒にあるという先生のラストシーンでした。

あるがままに生きて、あるがままに死ねば、そこには不平も不満も愚痴も生まれません。

もちろん、なかなか先生のような境地になれるものではありませんが、少しでも、あの域に近づきたいものです。
そのためにも、日頃から不平、不満、愚痴は慎みたいと思っています。