もともと体というのは動かすようにできています。
歩いたり走ったり、物を持ったり、首を回したり、腰を曲げたり伸ばしたり。
動かすことで、健康が保たれているというところもあります。

何らかの病気で寝たきりになってしまうと、いろいろなところが悪くなってきます。
よく年配の人が転んで大腿骨を骨折することがあります。
そんなときは、すぐ手術をして、寝たきりにならないようにした方が回復は早くなります。
手術ができなくて安静にしていなければならないようなときは、認知症になったり、肺炎を起こすリスクが高くなります。
それだけ、動くことが大切だということです。

人は、よく働くことが、よく動くことにつながります。
一つひとつは小さな動きかもしれませんが、それが積み重なれば、いい運動になるのです。

私の診察中の動きを紹介します。
椅子に腰かけたまま患者さんを迎え、問診、切診(体表を触ることで症状を診る)、聴診のあと、立ち上がってベッドサイドへ行き、腹部の触診をします。
また座って、説明をしたあと、立ち上がって、「お大事に」と送り出します。
これを一日数十人の患者さんに行っています。
ほかにも、病院内をあちこち移動しています。
重い荷物を持つこともあります。

そうやって一生懸命に働いていると、日が暮れるころにはクタクタになってしまいます。
これがあるから晩酌のビールが美味しいし、夜もぐっすりと眠れるのです。
80歳だからといって、仕事をリタイヤしてしまって、あまり動かなくなったら、ビールもまずいし、夜も眠れません。
それは勘弁してもらいたいと思っています。