私は、戦中戦後の食糧難の時代に育っていますので、食べることが楽しみでしかたありません。
『週刊朝日』に東海林さだおさんの「あれも食いたいこれも食いたい」という連載がありますが、私も東海林さんと同じで、食べ物に対する好奇心は、だれにも負けないくらいあります。

いつもは病院の栄養科の科長が、私の好みのものを用意してくれます。
何のリクエストもしていないのに、私が、今日はこんなものが食べたいなと思うと、それがテーブルの上並んでいたりします。
長年の付き合いですから、私の思っていることがピピッとわかるみたいです。

診察を終えて、今日はどんなおかずを準備してくれているのだろうと、私はときめきもって食堂に向かいます。
食堂に行くと、私が食べたかったものがぱっと目に飛び込んでくる。
こんなうれしいことはありません。

講演で地方に行ったりすると、その地方特有の珍しい料理が出てきたりします。
食べたことのないものだと、私の好奇心は大いに刺激されます。
どんな味がするのだろうか、おいしいのだろうか。
心をワクワクさせながら、ひと口食べてみる。
なんとも言えないスリルです。
そして、それが自分の口に合う味だったときのうれしいこと。

食事を楽しみにできる人は、一日に何度か心がときめくチャンスがあるということです。
漫然とお腹を膨らませるために食事をしていてはもったいないと、私は思っています。

今日は何を食べようか。
今日は何を食べさせてくれるのだろう。
そんなことを楽しみに思っていると、気の乗らない仕事でも、さっさと片付けてしまえます。
食べることを楽しみにしていると、元気があふれてきます。