粋な生き方で私の頭にぱっと浮かぶのが、江戸時代に『翁草』とう全200巻の大作を書いた神沢杜口という人です。
何が粋かというと、独り暮らしを楽しんだことです。
奥さんを亡くして一人になったときも、寂しいとともいわず、子供たちの世話になろうともせず、あちこち出かけては、いろいろな人と付き合いながら、そこで見たり聞いたりしたことを文章にしました。

それも気張っているわけではありません。

さりげなく、独りの生活の自由さ満喫している。

どんなことにもプラスとマイナスがあります。
奥さんを亡くして独り暮らしになるというのはマイナスのように思えてしまいます。
しかし、その裏に何があるかをのぞいてみると、自由さ、気ままさが、そこにはあります。
それはプラス思考ではありません。

プラス思考というのは、自分にとって不都合なことでもプラスに考えようということです。

杜口の場合は、プラスに考えているわけではなく、事実を見ているだけのことです。
独り身というのは、寂しくあるけれど、女房に気がねすることなく気ままに生きられるじゃないか。
人と会っていれば寂しさなんかまぎれていまう。
これは彼にとっての事実です。
だったら、せっかくの独り身だ、思いっ切り、自分の好きなように生きてやろうじゃないか。
そんな感じでしょうか。

彼が、この世は仮の世だから家なんて持たない方がいいと、一生借家住まいだったのも、私は好きです。
二年に一度くらい引っ越したそうです。
世の中の常識に縛られることなく、自分の生きたいように生きる。
そういう粋な生き方を目指していきたいのもです。